こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

水餃子

その日は一日中ずっと水餃子のことを考えていた。

 

とくに動機はないけれど、ちゅるんともちもちの水餃子をポン酢とビールで胃に流し込みたいなーと仕事中ずっとそわそわしていた。

 

仕事の合間を縫って「水餃子 都内 おいしい」と何度も調べては、口をカラカラに乾かしていたけれど、とくに目星もつけないまま仕事が終わってしまい、とぼとぼと駅に向かった。

 

電車の中でもずっと「水餃子 中央線 おすすめ」と調べていたけど、ガタンゴトンと揺られていたら家の最寄りの駅に着いてしまった。

 

今日はとくにやるべきことのない自由な週末だから、衝動のままどこかのお店にフラッと入って井之頭五郎ごっこをできたら満足だったのだけれど、変わりばえのしない最寄り駅で路頭に迷ってしまった。

 

あの店は何回も行っていて飽きたし、あそこは水餃子ないし、ここはガラが悪い客ばかりだし……とか考えながら周辺をうろうろ歩いていたらなんだか面倒臭くなり、家でビールを飲みながら水餃子をつつけばいいやと諦めて、いつも夕飯の材料を買うスーパーに入った。

 

目当てはもちろん水餃子だったのだけど、帰りのバスの時間が迫っていたから焦っていて、全然見つけられない。

 

これでいいやとお惣菜の焼餃子とサラダ、ビールとストロングゼロを抱えてレジに駆け込んだ。

 

お会計を済ましそそくさと店を出たら、乗るはずだったバスが目の前を通り過ぎた。次のバスまで1時間。またまた路頭に迷ってしまった。

 

もう、なんだか悲しくなってしまった。水餃子を買いにまたスーパーに戻るのも、バスを待つのも、歩いて帰るのも、どれも腑に落ちなくて、路頭に迷ってしまった。

 

お惣菜とお酒が詰まったレジ袋をぶら下げながら、もーーー!としばらく不機嫌になってしまったけれど、他にやりたいことなかったっけと頭を巡らせる。そういえばあの漫画読みたいなーというのが何冊かあった。

 

あ、漫画喫茶で漫画を読みながら餃子食べようと思った。そしたら機嫌が直って、とっとと漫画喫茶に向かった。

 

読みたかった漫画をどっさり抱えて、電子レンジでお惣菜を温めて、フラットシートで一人で乾杯したら、もっと機嫌が良くなった。

 

モニターが映らないし、ドアのゴムがべりべりで隙間だらけっていうボロボロ漫画喫茶だけど、漫画をだらだら読みながら過ごした数時間がこの日の自分の最高潮。

 

『凪のお暇』を読んで苦しくなったら、『からかい上手の高木さん』で調和するというルーティンを重ねながらお惣菜をお酒を平らげ、ふわふわしながらお家に帰ってお布団に入ったらどっぷり眠れた。そんな1日だった。

 

今度はきちんと水餃子を食べよう。