こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

金沢ひとり旅2

まずい。隣の老夫婦が茶菓子を食べながら旅行雑誌を開いてキャッキャしてるのをうらやましがってしまっている。私がどけば奥のカップルが窓際の席に移動できることに気付いて長居するのが申し訳なくなってきてしまっている。まずい。

 

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私、駅の鼓門を見て「ワ〜!」って言いたいタイプだわ。「バスの時間に間に合わないよ〜」って小走りしたいんだわ。「時間を持て余す」ことが不安で予定をパンパンに詰め込んだから一応まだ行く場所はあるけど、行く気が起きなくて時間を持て余してしまうとは。ああ、ひとり旅に向いてない。

 

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お茶屋を出てひやおろしを試飲した。行列ができている映えコロッケを食べた。近江町市場に戻って金沢おでんを制覇した。鼓問と自分の写真を撮ってみた。朝から飲み食いしすぎて何もいらないし何もしたくないのにまだ15時…。ああもう限界。終わり終わり〜!ってふてくされて駅前にあるアパホテル日帰り温泉に逃げ込んだ。


めちゃくちゃ空いている。なんでだ?…ああ、みんなこの時間は観光してるのか。別に金沢まで来てやることじゃないもんな〜、ハハッ。って露天風呂で大の字になったり、暗いリラックススペースで毛布にくるまったりしながら3時間休憩した。

 

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時間になって追い出されて、胃に少し隙間ができたからラーメンを食べた。本当は吉牛とかをパパッと食べたい気分だったけど、せめてもの良心で食べログで高評価のラーメン屋さんに入ったわけだ。これから居酒屋でラグビーを観戦しようってのに。考えることをやめてしまったんだね。


そうやってわけもわからず行列に並んでラーメンをすすっていたら、行こうと思ってた居酒屋に満席で入れなくなっちゃって、時計を見たら19時30分過ぎてて、慌ててTVerを開いたら田村優がペナルティーゴールで3点×2を決めてて、半泣きで金沢駅を右往左往して、あっそういえば…!と思い出して駆け込んだアパホテルの中の居酒屋さん。


またここに来るとはね。客が全然いなくて、無いなと思っていた居酒屋さん。いい時間なのに奥の広間の団体客以外、誰もいない。ただ、幸いなことにカウンターにテレビがあってラグビーを流していた。


「ここいいですか?」とテレビの前を陣取ってとりあえずビール。団体客たちはラストオーダーを過ぎてもまだいるのか、従業員のおばちゃん2人が「あの人たちまだ帰んないのかねー」と喋りながら突っ立ってラグビーを見ている。何か頼まなきゃと思って、テレビとメニューをいったりきたりしていたら「治部煮は金沢の郷土料理!」とすすめられてそれを頼んだ。

 

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その頃、日本はサモアに同点で追いつかれていた。いつも家で騒ぎながら見ているから、危うい場面や歓喜の瞬間になると抑えているつもりでも「ああっ…!」とリアクションしてしまう。そしたらおばちゃんが「すごいね!みんな血だらけになりながらやって!体が強いんがね!」と話しかけてきた。正直、テレビに集中したいのに話しかけられてめんどくさいな…と思ったけど「すごいですよね〜」と返した。


前半が終わる頃にはお客さんが数組来店して、2つ隣の席にカップルらしき男女が座った。オーダーでバタバタしているおばちゃんは私のそばを通るたび「今何点!?」と聞いてきて、日本がリードしてることを伝えると「ヘェ!百発百中やよ!」と喜ぶ。


後半に備えてトイレを済ませ席に戻ると、前半のダイジェストを見ていたカップルの女が「えーこの人たち何やってるのー?やばー」と男に聞いていた。ああ、初めて見るんだなーと冷めた治部煮をつついていていると、男が「ん、ゴリラが相撲してるんだよ」と答えた。うわ〜、最悪だ、超つまんねえ。後半おばちゃんの相手をしながらこの男の「ん、」から始まるつまんないやつを聞かなきゃいけないのか。私はおばちゃんにコーラとプリンを頼んで気合いを入れた。

 

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後半、息もつかせぬ日本の猛攻におばちゃんの「また百発百中や!」の声もカップルのつまらんやりとりも気にならなくなっていた。なんならノーサイドの時間が近づくにつれその場が「勝てるかも…」「なんかすごい」「いけいけ!」「ああっ…!」と一致団結し、最後の4トライ目を決めたときはさながらパブリックビューイング のようにみんなで「やったー!!!」と大喜びした。


試合後、私は高揚感でおばちゃんとカップルに「すごかったですよね〜!!!」と何度も話しかけ、日本が進出できる条件をつらつらと説明し、コーラを飲み干し「長居してすみませんでした〜!!」と店を出た。

 

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おばちゃんに「これ持ってって〜!」と渡されたアパホテルブラックモンブランをリュックのポケットに入れて、バスが来るまでの間、金沢の駅をまた右往左往した。おいしいものをたくさん食べて、好きなときにひと休みして、人と触れ合って…あれ、悪くなかったかもしれないな…なんて、あんなにふてくされてたのに名残惜しくなってしまって。

 

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また来よう。でもひとり旅はもうしばらくいいや。