朝、駅のホームで電車を待ってるとき、隣のおばあさんの頭に落ち葉が付いてるのに気付いた。あ、どうしよう…と頭をチラチラ見てたら目があって、イヤホンを外しながら「あの、ここに落ち葉が…」と話しかけてみた。
おばあさんは「あら」と言って頭を探り、手に取った落ち葉を見つめたあと、「家の近くの街路樹からついてきたのかしら」と言って、私に落ち葉を見せてきた。私は微笑ましくて、「そうなんですね〜」と笑ったら、おばあさんは黙ってコクリと頷いて、また落ち葉を見つめた。私も一緒に落ち葉を見つめてコクリと頷いてみた。そしてそのまま沈黙した。
雰囲気を察して、手に持ったままのイヤホンを耳にまた付けようとしたら、かぶせるように「そのスカートはどうやって洗うの?」と話しかけられた。自分のスカートを確認して「これはネットに入れて洗ってます」と返したら、「へえ」と見つめられて、「安物なんで」とヘラヘラ笑ったら、また黙ってコクリと頷かれた。
私もまたコクリと頷いて、向かいのホームをぼんやり見つめたあと、線路の奥と電光掲示板を確認した。一息置いて、では…とイヤホンを付けようとしたら、おばあさんはまたかぶせるように「今日はあったかいね」と話しかけてきた。
今度は沈黙を受け入れる覚悟でイヤホンをポケットにしまい「昨日もあったかかったですね」と返したら、「この前は寒くて…」と続いたから、びっくりして「あ、はい、ですよね」などと返事した。そうしてるうちにホームにアナウンスが響いて、そのままなんとなく会話が終わった。
次の駅でおばあさんが降りるのを見届けたあと、満を持してイヤホンを付けたけど、ループ再生で流したままの暗い歌に感傷的になれなくて、プレイリストの「晴れた朝に聴きたいJ-POP」を流した。なんとなく。
そんな今日の晩ごはん。夜にタマゴサンド、夜食みたいで楽しい。