家具の組み立て作業は私にとって苦役だ。これまで、2の板にAの木ダボを挿し込む作業で、何度と涙やボンドをこの頬と指先に滲ませてきた。
しかし、愚かな私は新しい家具に囲まれ暮らす日々のときめきや、レイアウトを考える喜びに支配され、うっかり注文してしまう。組み立て作業を要するニトリやIKEAの家具を。
お財布事情があるにせよ、大きな荷物が搬入される度、玄関で「ああ、何てことを…」と膝から崩れ落ちているのだ。板の重さを犯した罪の重さに重ね合わせて。
それほど辛いものなのに、今日、私はニトリのタンスを組み立てていた。同居人に「ヨッ!棟梁、似合ってるね!」などとおだてられながら。
私も調子が良いから、「Aのダボ!」「E、ネジ、4!」なんて、それらしく振る舞っちゃって。最後まで電動ドライバーを離さないんだから、全く、世話ないよ。
そんなわけでえらく疲れちゃって、午後に予定していたお菓子作りは諦めることにした。お菓子なんて既製品が一番おいしいんだわ。