おばあちゃんからもらった鉢植えで、得体の知れない大きな種が発芽した。まるで貝が触手を出すように。恐ろしい。
とはいえ見当はつく。おばあちゃんが適当に蒔いた野菜の種が鉢植えに紛れ込んだのだろう。聞いたり調べたりすれば答えが分かりそうだけど、ここはあえて分からないまま育てていこうと思う。
だって恐ろしいから。ホラー映画や絶叫系の乗り物は苦手だけど、この手の恐怖は番宣コマーシャルの「家政婦のミタゾノ、傑作選!」のマネがめちゃくちゃうまくなったことくらいしかニュースがない私の日々を刺激するのにちょうど良い。
それに私は「恐ろしい」「気持ち悪い」と感じたヒトやモノを愛する傾向があるから、このエイリアンが生まれるかもしれない大きな種のことを何よりも愛するようになるかもしれない。
この成長と向き合うには、まず一黄卵と二黄卵に振り回される日々から脱しなければならないとも思う。同時期に購入した2種類の卵の消費期限が迫っていて、食べ切ることに忙しいのだ。
仕事以外のLINEの通知がめったにない私にとって、種や卵といった命が宿るものに翻弄されることに悪い気はしない。