おうちのごはんも悪くないよ。宿のごはんは、そりゃあ豪華で、普段は食べられないような食材や味付けがあって楽しかったけれど、おうちのごはんもきっと悪くない、と思いたいから、今から自分を言い聞かせる。
おうちのごはんが想像を超えることは滅多にないし、準備と後片付けがあるね。失敗もあるし、賞味期限に追われるし、食べたいものばかり食べられるわけではない。「私はカップラーメンで済ませるから、あなたも勝手にその辺のものを食べて」と思う日が多々ある。
何よりめんどくさい。飽きる。温泉付きの上げ膳据え膳には敵わないことばかりで、旅行の翌日のおうちのごはんは特にやるせない。だから昨日は昼に納豆ごはんを食べて、夜はラーメン屋さんで豚骨醤油味のラーメンを食べた。
だけど、ずっとそうしていられないんだよね。冷蔵庫に使わなきゃいけない食材があるし、何でも良くない日もあるし、食費のことを考えなければいけないし、気分がいい日もあるから。
お刺身は外で食べるより、遅い時間のスーパーで半額のものを買う方がお得だよ。普段は行かないスーパーに行くと楽しいよ。使わなきゃいけない食材は味噌汁に入れるとだいたい解決するし、トマトは冷やして塩をかけるだけでおいしいね。
鶏胸肉のチャーシューは少しパサついていたから、次はもっと酢に漬け込んで、叩いてみよう。圧力鍋を使ってみてもよかったかもしれない。味付けはもう少し甘い方が好きだから、砂糖は多めにしよう。
まあ、そんなことがほぼ毎日。今夜はわりと豪華だから楽しかったけれど、楽しくない日もあるだろうよ。何にも気を使わないで、「旅館のウニソースがかかった茄子のやつおいしかったね」と話しながら、おうちのごはんを食べてさ。それが良いよ。それでも良いよ。多分ね。