こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

ザ☆ピ〜ス!

今日の自分がキモキモ気持ち悪くて、「自分がキモキモ気持ち悪い」を連呼していた。いつになったらキモキモ気持ち悪くなくなるんだろう。多分、一生キモキモ気持ち悪いな。大変だな。そうやってずっと一人で喋っていた。

多分、今日はこのまま終わるから、前倒しで宇宙の動画を見て、「永久影」という言葉だけを覚えて、目をつむった。まだ20時前だった。

しばらくして帰ってきた同居人に「会社の人がいらないって言うからもらってきたよ」と起こされ、指さす方を見るように言われた。その指先をたどり玄関を見ると、「NEW STARLIGHT」という年季の入った箱が置いてあった。天体望遠鏡だった。

「何で!」と飛び起き、「すごい、ありがとう」を何度も言うと、「あ、メルカリで2300円で売ってる」とスマホの画面を見せられた。私にはそれがもう一つの宝箱にしか見えなくて、また「すごい、ありがとう」を言った。

ビッグカメラの文字がかすれたシールを丁寧に剥がし、ナマモノを触るようにパーツを組み立て、ワレモノを運ぶように玄関の外に持ち出した。小学校の上にある月に合わせて完成したスーパーマシンを傾け、つむる目を間違えて自分のサンダルを見たり、上着を取りに戻ったりしながら、30分くらいてこずると、レンズの中にようやく月が収まった。

つまみを回すと、月は私だけが知っているすごいことのようにはっきりと見えた。何度か「こんなの好きになっちゃう」とぼやいた。どこかで誰かが同じものを見ているなんて、趣味が悪い気がする。今度会った誰かに「私、月見たことあるよ!」なんてバカなことを言ってしまいそう。

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寒いことと息することをずっと忘れていたから、2時間ぶりのこたつの中で体液が溶けて流れた。大きく息を吸って吐いたら、居間の天井に星が飛んだ。夜ごはんを食べている時も、湯船に浸かっている時も、月が今どこで何をしているのか気になる。気付くとモーニング娘。の「ザ☆ピ〜ス!」を口ずさんでいる。

小学生の頃、この曲が好きすぎて、家の前のアスファルトに石で「ザ☆ピ〜ス!」と書いたことを思い出した。私も今、手元に石があればアパートの外廊下のコンクリートに「月」と書くだろう。多分、昔からずっとキモキモ気持ち悪くて、それで大丈夫だった。今度こそ、宇宙の動画を見て眠ろう。