同居人と私は、ことごとく合わない。
同居人がこってりしたものをがっつり食べたいとき、私はさっぱりしたものを軽く食べたい。
同居人が寝室でギネスに挑戦する橋本環奈を見守っているとき、私はリビングでキングオブコントの会を見て笑っている。
同居人は暑いのに私は寒がるし、眠っているときに起きているし、家にいたい日に出かけたがる。何がどうして一緒にいるのか、不思議なくらい合わない。
その度に「はぁ……」とため息をつかれたりついたりする。どうしたもんかと考える。そして私は今夜ひらめいた。「お互いのことをシャウエンだと思おう」と。
シャウエンとは姿形も、言葉も、食べ物も、何もかもが違うけど、ため息をついたり、どうしたもんかと考えたりすることはない。合わなくて当然で、むしろそれがいい。
同居人と私は、同じ人間だけど、違う人間で、すなわちそれはほぼ別の生き物だから、シャウエンだ。
タイミングだったり、情だったり、楽しかったり、そうでもなかったりして一緒にいるから、シャウエンだ。
これからも長い付き合いかもしれない中で、合わないことはたくさんあるだろう。合うこともたまにはあるだろう。シャウエンだ。
そうだ、シャウエンだ。同居人も、私も、お隣さんも、会社の人も、家族も、歩いている人も、みんなシャウエンだ。いや、シャウエンか?
シャウエンはもっとモフモフでかわいい。いい匂いがするし、今日もごはんをたくさん食べたし、うんちも立派だったし。なんかもうほんと大好き。超かわいい。
あれ、なんの話だっけ。ああ、合う合わないの話ね。そういやこんなようなこと、ずいぶん前にも考えてどうでもよくなった気がするな。まあいっか、寝るか。