日曜日、おばあちゃんに頼まれて、同居人と一緒に実家の庭から不用品を運び出す手伝いをした。
日が最も高い時間、軽バンの日陰で息を整えながら、ずっしりとくるタイルや鉢を抱えて、階段を何度も登り降り。帰り際、汗と土でぐっしょりの手にかけられたビニール袋の中には、冷たい麦茶のペットボトルが2本入っていた。
そういえば、ひと月前「どっかに落とした」と言っていたおばあちゃんの携帯は、先週カバンの中で見つかったらしい。
効かないカーエアコンのダイヤルを回しながら、当時一緒に探してくれた同居人に「さっき恥ずかしそうに言ってた」と教えると、「まじか〜」と笑って窓を全開にした。
一度帰宅して、さらっとしたワンピースに着替えたら、前から気になっていたとんかつ屋さんへと向かった。
店内は、小言が多い店員と、笑顔がすてきなアルバイトと、目をパチクリさせる客とでにぎわっていた。
奥から「はいこれ持ってって」の声が聞こえると、笑顔のアルバイトが「こちらサービスです」と小鉢を次々と運んでくる。
奥からすかさず「ねーえ、つぶ貝は出す前に食べられるか一応聞いてちょうだい、それから……」の声が飛ぶ。テーブルの上とお腹はすぐにいっぱいになった。
夜、同居人が「今日はたくさん、たくさんだったね」と言った3秒後にいびきをかいた。たしかに、今日はたくさんだった。