お昼ごはんは、同居人がとぼけた顔をして持って帰ってきた、パチンコ屋に入っている食堂のお弁当だった。
「前に買って帰ったときにおいしいと言っていたから、わざわざ買いに行った」と言っているけれど、新台を打ちに行ったついでだろう。
同居人が「パチンコに行った」と言うと、私は「お金がもったいない」と言ってむすっとする。だから、同居人は見え透いた嘘をついたり、ジョークを言ったりする。
前は「パチンコ銀行に預金しに行った」「パチンコ大学で講義を受けてきた」などとよく言っていた。
ちなみに同居人が買ってきたお弁当のカツ丼は、パチンコ大学の留年生たちに人気のメニューらしい。味はもちろん、「勝つどん」に掛けているからだそうだ。
そういえば、私が昔働いていたスナックのママもパチンコが好きだった。同居人がよく「あんたんとこのママは行くと必ずいる。毎日いる」と言っていた。ママからもよく「(同居人を)見たよ」と言われた。
昔はお互いが毎日のようにパチンコにいることがわかるくらい、毎日のようにパチンコに行っていた同居人とママだけど、今は行く回数がずいぶんと減った。
同居人は月に一度行くか行かないか程度にまで減った。今はパチンコに行くより、家でYouTubeやNetflixを見ているほうが楽しいらしい。
パチンコで万札を溶かしていたママも、今はサイクリングで汗を流すことにハマっているらしい。ママの娘で、私の幼馴染の友達が、この前会ったときに教えてくれて、「ウケるよね」と言っていた。
これもまた、コロナの影響による変化だろう。私にとって、つらいこと、悔しいこと、寂しいことばかりの変化の中で、ふふっと笑える変化の一つだった。
そういえば、同居人は今日パチンコで負けたのかな、勝ったのかな。「勝つどん」だから勝ったかな。負けたから次は「勝つどん」かな。どっちだろう。