こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

金木犀

いつもより少しだけ早起きをした今朝、コンビニに行った帰りの狭い道で、猛スピードで走り去る黒いプリウスのミラーにひじが当たった。

「おっ、わっ、え!」と驚いた。黒いプリウスが曲がった角を見つめて立ちつくした。コツンと当たった程度で痛くもかゆくもないけれど、あともう数センチ近くを走っていたらケガをしていたかもしれない。

あとになって腹が立ってきた。だからといって、「こら〜! 待て〜!」と追いかけるほどの気力も、時間も、勇気も、痛みもない。当たった直後の自分の佇まいを思い出して、少し情けなくなる。

そういえば、いつもは優しいコンビニの店員さんが今日は無愛想だった。なんでだろう。今朝の星座占いは見ていないけれど、山羊座は12位の気がする。家の鍵を開けながら、深いため息をついた。

好きな音楽を流して仕事を始めてみた。コンビニで買ったむき甘栗が口の中でくだけると、店員さんの無愛想な顔を思い出す。隣にいるシャウエンの無愛想な顔は、なぜか笑える。

むき甘栗を食べ終わると、風に乗った金木犀の香りが網戸を通り抜け、鼻の奥にコツンと当たった。「え、もうそんな時期?」と驚いた。近所のどこかで咲いた金色の香りを探して、窓の前に立ちつくした。

夜は飯炊きをさぼって、マックの月見バーガーを食べた。食後に風呂掃除をしてくれた同居人が入浴剤を掲げて、「今日は金木犀の香りです」と高らかに宣言すると、秋はさらに深まった。湯船の中に、探しても見つからなかった金色があった。

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布団の中で日記を書きながら、今日起きた出来事を一つ一つ思い出す。温まった体から金木犀の香りが立ちのぼり、布団に染み込んでいく。なんでだろう。今日の山羊座は1位だった気がする。