こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

ギャルになりたくなった

鏡を見るとテンションが下がるから、ギャルになりたくなった。たまに出かけたときに撮ってもらった写真を見返すと悲しくなるから、ギャルになりたくなった。

ギャルになるにはブリーチで髪を明るくする必要があると考え、早速美容院に行った。

店内には若い人たちがあふれていて、後ろの席の客が「うちの彼氏おじさんだからミスチルとか聴いてるんだよね」と話していたり、それを聞いた美容師が「渋いっすね」と返していたりしたから、ドキドキした。

私を担当する美容師はセントチヒロ・チッチに似ていて、店内で最年少のオーラを放っていた。私が緊張の面持ちで「とにかく髪を明るくしたくて……」と伝えると、チッチは「OKでーす」と朗らかに答えてくれたから、とっても心強かった。

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施術中、ブリーチの経験を聞かれた流れで、私が昔ギャルをしていた話になった。

チッチに「ヤマンバってほんとにいたんですか!?」とピュアな視線を投げかけられ、「そうねぇ……」と遠くを見る私は、郷愁に駆られる年寄りのそれだった。

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3時間かけて、とうとう髪が明るくなった。仕上がりを確認して、鏡越しに「すごくうれしいです……!」と伝えると、チッチは「なんか、これからもっと楽しいですね!」と喜んでくれた。私は、もっともっとうれしくなった。

将来、地元で美容院を開くことを夢見るチッチに「がんばれー!」とエールを送り、にぎわう夜の街に放り出さると、私は突如として不安に駆られた。

「こんな……こんなかわいいギャルが街を歩いていて大丈夫だろうか……!?」と。

髪が明るくなっただけなのに、体の内側が色めき立っていたのだ。

ショーウインドーに映る姿を見ると、「あれ、そうでもないな」と我に返るけど、3歩進むとまた「た、大変だ……BLACKPINKの一員と勘違いされてしまう……」と不安になる。帰りに寄ったスーパーでは、半額のカレイを手に取って「ヤバイ……カレイを手に取る姿も絵になるぞ……」と心配になった。

見た目ってどうでもいいけど、見た目ってとっても大事だ。ギャルとはつまり、自己満足だ。ほぼ毎日家にいるだけなのに、髪が明るくなっただけなのに、チッチの言う通り、これからがもっと楽しくなった。

ブリーチ剤の匂いが心地よく鼻をつく今夜は、ミスチルの渋い歌を聴いて眠ろう。

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あと、眉毛も染めよう。