腰がとうとう終わってしまった。座るときも、立ち上がるときも、健やかなるときも痛い。痛くて泣ける。
多分、シャウエンと椅子を奪い合う日々のなかで出した「シャウエンが椅子に座れるよう、腰を浮かしながら仕事をする」折衷案が腰を終わりへと導いたのだろう。
今、寝室では火災報知器が50秒に一度、電池切れを知らせる「ビッ」という短い警報音を鳴らしている。私が「ああ……あああ……」と助けを求める呻き声を出したところで、同居人は夢のなかから戻ってこない。
腹をすかせたシャウエンは、火の輪をくぐる虎のごとく、横たわる私の上を何度と飛び越え、「ヤーッ!」と雄叫びをあげる。私は眼前を横切るシャウエンの腹に、「アナタ、30分前に食べたばかりですからぁ……!」と言い返すことしかできない。
テレビではふるさと納税を急かすCM、ああ……今年こそは申し込まなければ……。スマートフォンにはフリマアプリに出品した服が売れた通知、ああ……早く発送しなければ……。ああ……「ビッ」……あああ……。