こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

そんな感じ

小学4年まで、ほぼ毎晩おねしょをしていた。5年の移動教室、6年の修学旅行のときまでには、1週間に1回程度。中学に入るときには、自然となくなった。

小学5年のとき、移動教室の前、「何かヘンなのかも」と心配したおばあちゃんに大きな病院へ連れられて、脳の検査をしてもらった。私も「何かヘンなのかな」と不安になったけど、白衣の先生に慰められて、帰りにデパートの上の階でごはんを食べたから、多分大丈夫だった。

次の日から、敷布団は防水性を重視したエアベッドに変わった。シーツの付け替え係は私になった。昨夜までは新聞紙とレジャーシートの上にシーツを敷いた布団で寝ていて、寝心地はシャリシャリしていたけど、今夜からはポアンポアンになった。

ポアンポアンとの初夜、私は胸をなでおろした。よかった、下校中によくおもらしをしていることは、おばあちゃんにも、白衣の先生にもバレなかった。本当は低学年のときも、高学年の今でも、たまにおもらしをしている。

おねしょは寝ている間だから、その理屈はよくわからない。脳を検査したうるさい機械にもわからなかった。だけど、おもらしはわかる。学校の帰り道、20分くらいの道のりの、半分くらいの地点で、いつも突然、太ももできつく締めないと押し流されてしまいそうな、巨大な尿意がお股を襲う。

毎日のように漏れそうで、用もないのにガードレールにまたがってみたり、用もないのに道路で正座してみたりして、必死に尿道を塞いでいる。毎日仲良く、おしっこと一緒に帰っている。

犬たちのトイレスポットであるポールに押し当てても、靴のかかとでふたをしてもおさえられないときは、特に雨の日なら、スカートなら、あきらめて、している。一箇所にとどまると新しい水溜りができるから、垂らしながら歩いている。お母さんにはすぐバレるけど、みんなには言えない。


そんなことを、昨夜3時過ぎ、珍しくトイレで目を覚ました同居人を見て、ふと思い出す。何だったんだろう。私のおねしょ、おもらし。

毎日シーツを洗っていたお母さん、大変だったろうな、申し訳ないな。移動教室と修学旅行の夜を思い出すと、今でもお股がゾッとする。翌朝、シーツにそっと手を当てたときのさらっとした感触を、感動を、今でも覚えている。

トイレから帰ってきた同居人に、今じゃないと思いつつ、でも言いたくて、「あのさ」と打ち明けてみる。「小学4年まで、ほぼ毎晩おねしょをしていた」と。同居人は、寝ぼけた声で「あぁ、そんな感じする」と言った。

小学4年生まで、ほぼ毎晩おねしょをしていた感じ。

「今のうちにトイレ行っときなさい」という忠告を、素直に聞かない感じ。トイレに行ったふりする感じ。茂みに隠れてする発想がない感じ。みんながトイレに行っているあいだに、階段5段飛ばしの練習をしたかった感じ。

したくないときは出ないし、我慢できなくなったら、あきらめてする感じ。寝ている間の私も多分、あきらめていた感じ。だから多分、何かヘンだけど、大丈夫だった感じ。言われてみれば、私って、そんな感じする。

寝たと思った同居人が「トイレ行っときな」と言う。したくないときは出ないし、我慢できなくなったら、は、もう、さすがに。行っとく感じ、そんな感じの31歳。