こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

きっと完

8月3日、試験前日。試験会場の千葉大学西千葉キャンパス近くのビジネスホテルに前乗りするため、昼過ぎに家を出発した。都内にも試験会場はあるんだけど、微妙に遠いし乗り換えが多くて。あと、2日連続早起きをするのは向いていないと思って。そんなの必要ないよってものまでリュックに詰め込んで、千葉へ小旅行をした。

f:id:am161024:20220809234044j:image
f:id:am161024:20220809234047j:image

部屋での私はしっとりとしていた。「しっとり」って何だよって思うかもしれないけれど、しっとり。緊張しているわけでも、けろっとしているわけでもない。猛暑で体は汗ばんでいたし、不思議と目が潤んでいたから、しっとり。「今の私、モテそうだなぁ」などと考えていた。

勉強はした。たくさんした。そんなの必要ないよってことまで頭に詰め込んで、気付いたら夢の中を小旅行していた。意外とすぐ寝れちゃうもんだから、たまげた。

8月4日、試験1日目。早起きをするのは向いていないと思ってわざわざ前乗りしたのに、5時半に目が覚めた。昨夜はあんなにしっとりしていたのに、目が、粘膜が、脳みそがからっからで、「今の私、モテなさそうだなぁ」なんて考えられなかった。うそみたいだけど、本当に今日が来ちゃった。

f:id:am161024:20220809234117j:image
f:id:am161024:20220809234114j:image
f:id:am161024:20220809234110j:image

シャウエンの毛が舞っていない部屋では、朝のくしゃみラッシュがないことを知って寂しくなる。緑豊かな西千葉キャンパスの構内を歩きながら、「元大学生ってみんな大学に行ってたんだ、すげぇ」ってアホみたいなことを考えて生きてる。朝の天気予報では雨だったけど晴れている。多分、ツイてる。

会場にはたくさんの中卒がいた。中卒っぽい人もいれば、中卒っぽくない人もいて、だけどみんな同じ顔をしていた。私もみんなにならって切羽詰まったような顔をした。高校受験のときも多分、この顔をしていた。だけど、偏差値が希少な30台で、受ければ受かる高校だったから、えんぴつを転がしていた。半年後に退学になるとは思ってなかった。

午後、過激な雨と雷光が教室の窓を打ち付けたから、心を込めて切羽詰まった顔をした。傘を持ってきていない。試験の手応えは、雨に降られている最中に忘れてしまった。

びしょびしょの服を脱ぎながらお風呂を沸かして、家から持ってきたゆずはちみつティーを入れた。そんなの必要ないよって思っていたものが役に立った。風邪をひいたらおしまいだ。明日で全部おしまいだ。1日目の解答速報が出ているか知りたくて、Twitterで「高認」と検索したら、「高認の会場、雨予報なのに傘持ってない人がたくさんいて『さすが社不』と思った」というようなことをつぶやいている人がいた。「ハイ!」と元気に返事をした。部屋によく反響した。

f:id:am161024:20220809234158j:image

8月5日、試験2日目。この5カ月間、ずっと昨日と今日のことを考えていた。5カ月前まで、テレビの配線が得意だから自分のことを理系だと思っていた。思っていた昨日と今日じゃなかった。全然理系じゃなかった。この二つ以外の全てのことは、明日になったら忘れちゃいそう。だから、今日全部出し切っちゃおう。

f:id:am161024:20220809234215j:image

終わった。帰った。疲れた。解答速報はその日の19時に出た。体に耳をあてると、「ゴボシャー」と活発な配管の音が聞こえる。今、一番緊張している。千葉駅土産の万葉軒トンかつ弁当を早く食べたい同居人をなだめながら、答え合わせをしていく。当たってる。受かってる。多分、全教科受かってる。トンかつ弁当、食べる!

f:id:am161024:20220809234236p:image
f:id:am161024:20220809234240j:image

5カ月間と2日間の無理がどっと押し寄せて、試験後から今日まで体調良い日が1日もない。だけど、ずっとうれしい。死ぬまできっと、「がんばってね」と「おめでとう」と「おつかれさま」が胸に満ちている。多分、全部忘れちゃうけど、勉強してよかった。がんばったよ、ありがとう、おつかれさま。

f:id:am161024:20220809234255p:image