日曜のこの時間にしたい話
小学生のとき、放課後自転車に乗って、初めて一人で近所のお花屋さんに入った。その日は母の日だったから、今年は折り紙じゃない、本物のカーネーションをお母さんにあげたかった。
とても緊張しながら買った一輪ブーケのカーネーションは、帰り道、段差のたびに自転車のカゴの中で勢いよく飛び跳ねた。それを地面に落とさないよう慎重に、だけど早くお母さんに届けたくて、集中してペダルを漕いだ。
なぜかわからないけれど、行きより帰りのほうが、なんとなく道がひらけているような気がした。ほくほくとした笑みを浮かべながら、道を譲ってくれる大人とたくさんすれ違った。
信号待ち、隣のおばあさんがカゴの中身と私の顔を交互に見てほほ笑んだとき、その理由に「あっ!」と気付いて顔が熱くなった。カーネーションの香りを振りまいて走っている今この瞬間、たくさんの優しさを運んでいるような、誇らしくて照れくさい気持ちで胸がいっぱいになって、ほっぺたがじんじんした。
「ありがとう」って言うお母さんに、帰り道に起きた出来事をちょっとだけ大げさに、勇敢に話した。お母さんは「かわいいね、うれしいね」って、とても喜んでくれた。