こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

人間ドックの気持ち

人間ドックって、祭りのあとみたいだね。無病息災を願う祭りを、今年も無事に執り行ったあとのような気持ちだよ。

 

検尿検便は祭事の成功祈願として、新鮮な尿と便を神々に奉納している気持ちになるし、採血は祓所である「ロッカールームを出て左側、2番の奥の部屋」で、「医療従事者」と呼ばれる巫女が穢れとされる血を抜き取り、神主によって祓い除かれる──みたいな気持ちになるよ。

 

祭儀「胃X線検査」では、御神(おみ)バリウムを胃に含んで上下左右に舞ったし、神幸祭の「子宮頸がん健診」では、お神輿の「内診台」の上でお股を広げて町を練り歩いた。そういう気持ちになった。

 

それはとても痛かったり、恥ずかしかったりするのだけど、社会という名の村の伝統だから、無病息災のためだから、確認のためにフルネームを読み上げながら、検査着を胸の上までたくし上げ、「よろしくお願いします!」と笑顔で祈りを捧げたの──。

 

ああ、なんてかわいそうな私。こんな大変なことをやってのけた後だから、今夜は布団にくるまりながら、熱くて甘いレモンティーをすすりたい。ろうそくの火をじっと見つめていたい。ね、そうでしょう。

 

そうじゃなくてもいいから、とにかくこの世の全てのエモーショナルな描写に私の面影を重ねてほしい。そういう、ちょっと難しい扱いをしてほしい。……なんでってそりゃあ、人間ドックを終えたあとだから。

 

たかが人間ドックと言われりゃそれまでだけど、でもさ、「頑張ったね」「えらいね」って言ってほしいんだ。わかってるよ、今日の出来事を普通に振り返るだけだと慰めてもらえないから、だから、神事に置き換えて仰々しく語ってみたわけだし。

 

そしたら、「御神バリウム」とか「お股を広げて町を練り歩いた」とか、斜めに筆が乗っちゃって、それはちょっとびっくりした。お股を広げて町、練り歩かないもんねぇ!

 

ただ、同情してほしかったんだ。34歳、健康診断から人間ドックに昇格し、やり終えたことを。緊張したよ、ビビったよ、バリウムやべぇよ。歳を取るのは楽しいけど、これだけはやんなっちゃう。情けない女でごめんよ。

祭りのあと

祭りのあと