本当の話

本当のお菓子作りを知ってしまった。雨の日に部屋を焦がしバターの香りで満たすこと。そうでもないコーヒーを焼きたてのフィナンシェに添えること。

使ったことがない記念品のスプーンはかっこつけ。リモコンとティッシュをテーブルの端っこへ寄せて、折目正しい写真を撮影した。その様子はシャウエンにばっちり目撃されていた。

熱々をつかんだ指まで甘くて幸せだった。好きな音楽だって流れていた。アップルパイはまあまあで、昨夜はランジャタイの漫才を片っ端から見て笑って……そう、本当はね！