私は今、栽培にハマりすぎている。
出来ることならお金をかけずに、水と土と太陽で勝手に育つこの世の全てをわが家のベランダで栽培したい。大げさなようで、三角コーナーの前に佇み、「これも栽培できるぞ…」と野菜の種や根元を凝視している時間が多いから、わりと本気だ。
しかも、前に知り合いから「さくらんぼの種を捨てるのが面倒で庭に放ったら、何年後かにさくらんぼの木が生えた」という話を聞いてしまったから、技術や手間といったものに対する不安もない。
したがって、現在わが家には、芽や根が出ることを期待されたレタスと玉ねぎの根元、いちごのヘタ、刺身や寿司に付いている穂紫蘇などの生ゴミ…もとい、苗と種が点在している。
卵の殻も土に埋めたら卵が芽吹き、ベランダで「ピヨピヨ」と産声を上げるのではないか。その声を聞いた私は「今年もこの季節がやってきたなァ」と風情を感じるのではないか。
わが家が万物創世記の場と化す日はそう遠くない。