こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

多年草

金曜日、初めてのオンライン飲み会で、久しぶりに人と喋りながら飲酒。「初めて」と「久しぶり」と「アルコール」が回った体は、歯欠けであることをすっかり忘れてしまうほど盛り上がり、日をまたいだあたりでさらっとゲロを吐き、スッと眠りについた。

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土曜日、10時間睡眠と微かに残るアルコールで妙なテンションを保ったまま、おばあちゃんが暮らす実家へ。近所のレストランでテイクアウトしたお弁当をつつきながら、お互いの近況を報告した。

得意げに話した「歯が折れた」「つむじが二つになった」という二つの大きな報告は「歯医者に行きな」と「ああそう」で終わったが、「花に興味を持った」という些細な報告は、「それならあんた、来てみな」と雨の庭に連れ出されるほど食いついた様子だった。

そして、雨天決行の庭ツアーが開催された。ガイドを務めるおばあちゃんは傘もささずに、植物一つ一つの入手日や育て方を、おじいちゃんや幼い私との思い出を交えて紹介する。私はそれに質問を折り込みながら、雨降り構わず付いてまわった。

おじいちゃんが好きだった椿や、幼い私がよく花を落としていた牡丹は、今もしっかり根付いていて、大きなしずくを落とす桃の木や、足元で生い茂る木いちごの小さな緑が、嬉々としたおばあちゃんの後ろ姿とともに愛おしく目に映るすばらしいツアーだった。

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部屋に戻ってからも、おばあちゃんはかんたんスマホで撮影した花の写真を資料に紹介を続けた。よく撮れた写真なんかを「インスタ始めたらいいのに。これとかめっちゃ『いいね』もらえるよ」と褒めると、「何だかよくわからない」と突っぱねながらも、「『おばあさんなので、お礼の返事はできません』って書いとかなきゃいけないね」と写真を選んでいた。

日が暮れだした頃、私は時計を見ながら「そろそろ……」と切り出した。夕飯の準備に取り掛かろうとしていたおばあちゃんは「帰るのね」と言ってソファに座り直し、一息つくと「じゃあ、あれ持っていきな」と言って雨の庭に再び繰り出した。

「使ってないから」という5つのきれいな鉢と、「いっぱい生えてるから」という桃と木瓜の挿木、あじさい、クリスマスローズ多肉植物を私に持たされると、おばあちゃんは「花が咲いたら庭の様子も変わるから、また見にきたらいいんじゃない」と言って見送った。いつも、いろんなものを持たせてくれるけど、今日のは特に重かった。

帰宅後、庭の緑が生い茂り、花を咲かせ、散っていく間に、人が年を取ることを思ったら、何だかとても寂しくなった。だけどきっと、その繰り返しが愛おしくて。さらに狭くなったベランダがぼんやり揺れて見えた。花を好きになって良かった。