こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

ベーシック国語

NHK高校講座の「ベーシック国語」が、私にとって今、一番面白い映像作品だ!

今まで一度も習ったことがない言葉の使い方やルール、古典、漢文。習ったところで一つもわからないけれど、見て聞いている分にはとっても面白い。次も次も、と見続けてしまう!

出演者の滝沢カレンちゃんはかわいくて愉快。先生は優しくて分かりやすい。オウムさんはいると助かる。本当に面白い! 小学5年生のころに見ていためちゃイケより面白いかもしれない。

この興奮を、今すぐ誰かに伝えたくて、日記を書いてしまったくらい面白い。以上で、この話は終わり!

頑固一徹

同居人に付き合わされて、ドラマ「とんぼ」を見たあとに「教師びんびん物語」を見るという昭和な1週間を過ごした。令和を生きている感覚がない。

影響を受けやすい同居人は、何かと私に「軽い槍の反対は何だ?」と聞いてくる。私のことを「榎本っ」と呼んでくる。その度に「重い槍、おもいやり……思いやり!」と気付いたふりをして、「先輩〜」と反応している。とっても、非常にめんどくさい。

しかし、私はそんな同居人を鼻で笑えない。笑ってはいけない。なぜなら私も、影響を受けやすいから。

とはいえ同居人のことを「ツネ」と呼ぶようなまねはしない。私は人から言われたことを真に受けて、すっかりその気になってしまうタイプの、影響を受けやすい生き物だ。

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例えばここ数日、直近の黒歴史を思い出しては「ア゛ッ(死)」となり、寝息をたてるシャウエンの犬歯に喉元を差し出していた。「一思いにやってくれえええぇぇ……」と懇願していた。シャウエンにはずいぶんとウザがられた。

しかし今日、適当に、人からたった一言「大丈夫だよ」と慰められたら、大丈夫な気がしてきた。黒歴史、何それ? である。もう全然、シャウエンに食われて死にたくない。シャウエンと一緒に長生きしたい。

もはや影響を受けやすいどころの騒ぎではないだろう。とってもちょろくて非常におめでたい、簡単お手軽イージーな生き物だ。

思うに私ほどのレベルになると、シャウエンが「お前うまそうだな」と言えばその気になる。意を決して食われて死ぬ。いっそ死ぬならシャウエンに食われて死にたい。シャウエンが幸せならそれでいい。シャウエン、愛してる。

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さて今週末は、「教師びんびん物語Ⅱ」「ラジオびんびん物語」「巡査びんびん物語」と、びんびんシリーズを見させられる予定。せっかく令和を、今を生きている感覚を取り戻せたのに、昭和に引き戻されるらしい。まあいいか。

へけっ

膨らんだり縮んだりを繰り返すおじいちゃん先生の鼻の穴と、先生宅のオールドな家具に反響する大音量のクラシック音楽に大部分の気を取られた昼下がり、第一部の授業。

私はいつか、似たような灰色の大きな穴や、クラシックの抑揚と触れるたびに、この日々を思い出すのだろう。そんな気の早い感傷に浸りながら、脳の溝に世界史のあれこれを塗り詰めた。

第二部、日本史の授業は、途中からおじいちゃん先生のかわいい孫が登場。Skypeのオーディオ設定が、律令について説明する先生の声を主に拾うべきか、それとも孫の「だああ!」や「じぃじぃ」を主に拾うべきか、あたふたする様に気を取られ、癒やされた。

一人で予習・復習しているほうが、内容が頭に入るかもしれない。だけど、毎週のおじいちゃん先生との授業があるから、投げ出さずに頑張れるのかもしれない。今は、そんな感じで楽しく勉強できている。ね、シャウエン。

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おらは死んじまっただ

久々に人と会うのが楽しみで、都内の方に行くのは100年ぶりで、緊張していて、すごく酔っ払ってしまった昨晩。

いつものことと言われてしまえば本当にその通りで、その通りなんだけど、翌朝いつも通りに「ああ、死のう!」と落ち込んだ。

うれしい、仲良くしたい気持ちをお酒で割ると、どうして私はバカ酔いするの。途中からウーロン茶とか飲みなよ。なんなの、バカなの。

今日、幾度と口からこぼした「ああ、死のう!」を積み上げると、余裕で成層圏に突入するといわれている。今夜もしも流れ星が見えたなら、それは崩れ落ち燃えさかる私の「ああ、死のう!」だ。

そんなことを言ってらんないくらい、ごめんなさい。天寿を全うします、ごめんなさい。

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サンパニジュウシ

高卒認定取得のために、今日から学校に通い始めた。その学校には、さまざまな事情で学べなかった人々が通っている。

私のさまざまな事情は、多分どうってことない。主に怠けとか、怠けとか、怠けとか。取得の理由は、思うところや思い付きなど、まあいろいろとある。

その事情やら理由やらの一つ一つを説明すると、多分、大ボリュームの大自伝になってしまう。恥ずかしいから、今はやめておく。いつの日か、夜中のロマンチックなテンションが最高潮に達したマジキモい私が、よだれを垂らしながら書いてくれることを期待しよう。

今日は先生との初顔合わせ、初授業の日だった。学校の代表者と事前に面談をした際、私の学力が小5であることが判明したため、「先生の言っていることが一つもわからなかったらどうしよう」と、とても緊張していた。

面談の日から初授業の日まで、私は支給された使い古しの教科書を毎日開いて勉強していた。その結果、九九の三の段以降が危ういことも判明していた。「サンパチニジュウイチ」を「サンパニジュウシ」に矯正するのに1週間以上を費やしていた。

授業は個別で行われる。私の授業を担当する先生は、リタイア後のおじいちゃんだった。いつでも「サンパニジュウシ!」と答えられるよう構える私に、おじいちゃん先生は自身の孫の話を聞かせてくれた。

今日は甥っ子の話までを聞いて、授業が終わった。帰りは、その授業の様子を見守っていた代表者に、「うちの学校こういうのいっぱい届くの、よかったら食べて!」と、たくさんの野菜と果物が入ったビニール袋を持たされた。私は、やっていけそうだな、と安心した。

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今後はオンラインで授業が行われるらしい。おじいちゃん先生と無事にSkypeが繋がるだろうか。「まずは受けてみよう」と軽く提案された8月の試験に間に合うだろうか。心配だ。頑張るだ。

私の人生

先週の休日、フリマに初出店した。私はフリマに向いていなかった。

出品したものは、家にある服や雑貨約50点。ブルーシートの上に広げて、ニコニコ、ヘラヘラ。全品500円以下に設定したが──午前中に売れた数、5点。

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その5点は、いかにも関わっちゃいけなさそうなおじさんがフラフラとやってきて、「やる気がなくてかわいそうだからたくさん買ってあげるよ」と憐れみ、情けで買ってくれた。

私は、ナルホド……! と思った。おじさんの言う通り、私はやる気がない。おままごとの気分で出店している。周りの出店者たちのように「いらっしゃいませ〜!」とか何とか、声を張り上げていない。ただ座ってニコニコ、ヘラヘラ。

しかも、マスクをしているからニコニコ、ヘラヘラは伝わっていない。ただ、じっと、座っているだけ。情けないやら何やら、おじさんに「全部で1000円でいいです」と頭を下げたら、「ほんと、やる気ねぇな」と札を投げられた。

き、きつい……! と思った。そうだ……やる気を出そう! と思い直した。これはまるで、私の人生。かわいそうだから、バカだから、ヘンテコだから、私は今まで、あらゆる場面で、さまざまな情けをかけられ、救われてきた。だけど、もうやめよう。甘えるのはよそう。

まずは声出し。「……ぞぉ……うぞぉ……」通行人に元気よく「どうぞ〜!」と声をかけるつもりが、緊張で語頭がくぐもり、「食っちまうぞぉ……食っちまうぞぉ……」みたいになってしまった。散歩中のチワワが私を見て怯えている。

ダメだ、もっと明るく。元気よく! ちょうどその時、小学生くらいの子どもが私の前で足を止め、ブルーシートの上に並べてある漫画をパラパラとめくり始めた。──今だ、話しかけなきゃ……!

「そ、それ……」小学生はビクッと肩を震わせ、ゆっくりと顔を上げた。まずい、突然声を発した私に怯えている、チワワと同じ目をしている。和ませなくては、サービスしなければ……!

「ほ、欲しいんだったら……あ、あげる……ほら、ほらぁ……!」小学生は漫画を投げ出し、一目散に逃げていった。

下手かよ。千に金をあげたいカオナシかよ。てかあげんなよ。もうなんだかおかしくて笑えてきた。ヒッ、ヒヒッ……隣のハンドメイド作家が、私のほうを必死に見ないようにしている。ヒッ、ヒヒッ……泣けてきた。

結果、最後まで一人でやるつもりだったけど、何もかもがダメすぎて、途中から同居人や同居人の家族が参戦。大幅な値下げや協力のおかげで、7020円の売り上げを出した。

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私はフリマに向いていなかった。だけど、「めちゃくちゃ楽しかった〜」みたいな、充実感に包まれている。そんな自分に「えっ、なんで……?」と戸惑っている。多分、私の人生だった。

***

戦争が嫌すぎて眠れない日が続いていたけど、嫌と生活は並行していかねばならんから、久しぶりに日記を書いた! ワー!

なんてことはない

早寝早起きの練習を始めてから、日記を書く時間を見つけられないでいる。

この1週間は、おばあちゃんと出かけたり、他には何もなかったりと、まあそれなりにいろいろとあった。書くことはたくさんあるような、ないような。

そんな1週間を総括する今日の日記は、なんてことはない出来事を。1週間のなかでもとびっきりの、なんてことはない出来事を。

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同居人と私は今日、近所の中華料理店……というよりは、中華レストランといったほうがよさそうな店で昼食をとった。店員さん……というよりは、ウェイターさんといったほうがよさそうな男性が案内する席に、控えめに腰を下ろした。

刺繍が施されたベロア地のソファ、厚みのあるテーブルクロス、高い天井──。窓の外は見慣れた景色だけど、張り詰めた空気が、食器の音が、高級な気分を盛り立てる。

私たちがおどおどと頼んだ「飲茶ランチコース」は、それはそれはおいしくて、それはそれは上品だった。記念日でも何でもない日に、思いつきで、いつもの回転寿司をやめて、色とりどりの点心を口に運ぶことになった昼下がりは、とても贅沢だった。

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しめのデザートは、黒蜜と烏龍茶のシロップを垂らした杏仁豆腐だった。それぞれを絡めるようにしてスプーンですくい、口に運ぶ。舌と上顎ですり潰すと、ねっとりとした香りが鼻に抜けた。点心で満たされた胃袋に、爽やかな甘みが落とされていく。

テーブルの向かいの同居人も、同じように杏仁豆腐をすくっては運び、すり潰している。スプーンの上で踊る杏仁豆腐が、目にもみずみずしさを伝えた。私たちは飛沫防止のパーテーション越しに視線を交わし、「うん、うん」と満足に頷いた。

ガラスの器の底が見え始めたころ、なんてことはない出来事は起きた。その時、窓の外で鳥たちが一斉に飛び立ったわけでも、ウェイターが手を滑らせ、皿を落としたわけでもない。ただ、静かに、ゆるやかに、同居人のスプーンから杏仁豆腐が滑り落ちそうになった。

私はたまたま見ていた。「はっ」と小さな声をあげた同居人の顔を。こぼれ落ちそうな白いゼラチン質を追うように、右往左往する右腕を。揺れを見事に吸収する、岡持ち付きのバイクのような上体を。

スプーンの先端で震える一口に、「ちゅるっ」と食らいつく唇と目が合った。「んっ?」同居人がゼラチン質をゆっくりとすり潰しながら、「……どした?」口をニチャっと開けて、目を丸くする。

いや、そんな……。落ちそうな杏仁豆腐を、目を剥いてまでして追わなくても。その一口のために、今日、今、ここで、小さなスプーン片手に、酔拳の型を初披露しなくても。杏仁豆腐は、器に落ちるだけなのに。

「だから……いや、そんな……」言い直そうとすると、脳裏にドランク・モンキーの見事な型が再生される。何でかちょっと腹が立つのに、腹の底から笑いが沸々と湧き上がり、こみ上げてきて止まらない。

「んっ、どした?(ニコッ)」じゃないんだよ、岡持ちが、一口の杏仁豆腐を運んでいたんだよ。追い打ちをかけるように、「うん、うん」同居人が頷く。違う、やめて。

「いや、だから……杏仁豆腐を……」噴出する笑いをこらえればこらえるほど腹がひきつる。「そんな必死に、追いかけなくても……ひっ、ひぃ」息も絶え絶え、どうにか伝えようと酔拳の型を真似ると、目に涙がにじむ。

ようやく理解した同居人の耳がみるみる赤くなり、肩がふるふる、ふるふると震え始める。「だって、杏仁豆腐が……ひっ、ひひぃ……」悶えながらテーブルに突っ伏した同居人が、ガラスの器をかたかたと鳴らす。

刺繍が施されたベロア地のソファ、厚みのあるテーブルクロス、高い天井、初披露の酔拳──。張り詰めた空気が、食器の音が、2人の笑いを盛り立てる。

「だって……だってさ……ひ、ひひ、いひぃぃ……」「だめ、ちょほんと、やめ……あひ、あひひ、あひぃ……」

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なんてことはない。今思い返してみても、何がどうしてそこまで面白かったのか、全くわからない。だけどその時、私たちは残った杏仁豆腐を前に、文字通り腹を抱えることしかできなかった。

疲れた。笑って疲れた。今日はいつもよりも早く眠れそうなのに、なんてことはない出来事を日記を書いていたら、いつもよりも深く夜を更かしてしまった。日記を書く時間はまだ見つけられそうにない。