こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

雪平鍋

10年以上使い続けた雪平鍋に穴が空いた。

その雪平鍋は、同居人と暮らし始めたころに買った。1000円もしないヤカンを買うことにすら勇気がいるくらい貧乏だったから、100円ショップで買った。

「とりあえず」のつもりで買った雪平鍋は大活躍した。お湯を沸かすとき、ラーメンを作るとき、卵を茹でるときと、ちょっと使いにものすごくちょうどよかった。

徐々に生活が安定してゆき、電化製品や食器類が新調されていくなかでも、雪平鍋は活躍し続けた。ヤカンの値段に怖気付かなくなっても、雪平鍋を使い続けた。

今日もまた、いつものように雪平鍋でお湯を沸かした。二人分のインスタントラーメンを作るため、水をたっぷりと注いだ雪平鍋を火にかけた。

食器を用意する同居人の「あれ、なんか漏れてない?」の声で、五徳の周りに水溜まりができていることに気付いた。よく見ると、雪平鍋からちびちびと水がしたたっていた。

光にかざすと、5つの小さな穴がくっきりと見えた。10年以上の月日が、昼白色の蛍光灯に照らし出されていた。

丁寧ではなかったけど、大事には使っていた。「ずいぶんと長いこと頑張ってくれたよね」「ほんと、ありがたいね」出来上がったインスタントラーメンを食べながら、雪平鍋を初めて労った。

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その夜、待ってましたとばかりに高性能でおしゃれな電気ケトルを探し始めた。実は前々から、壊れたら超イイ感じの電気ケトルを買お〜! と思っていたのだ。

雪平鍋に愛着がなかったわけではない。ただ、壊れないから使い続けていた。要するに貧乏性なのだ。

高性能でおしゃれな電気ケトルはたくさんあった。しかし、「ヤ〜ン、カワイ〜!」と思うケトルは平気で1万円近くした。めちゃくちゃ怖気付いた。

唇をかみながら、試しに「雪平鍋 穴 修理」と検索してみた。すると、アルミ用のパテで穴を埋めればまだまだいけそうであることがわかった。

不燃物の袋から、雪平鍋を急いで引っ張り出した。雪平鍋の底に、ストレス性の6つ目の穴が空いた気がした。