定期検診で血を抜かれ、便と尿を上納し、お股を晒した帰り道、数年後には廃業しているであろうショッピングビルで、昔の私が好きそうな服を見た。
派手だったり、ピチピチだったり、面積が狭かったりする、昔の私が好きそうな服。どよーんとしていた胸の奥が、懐かしさでじゅわっとする。
昔は、お尻が申し訳程度に隠れる丈のTシャツ1枚だけで外に出ていた。そよ風で翻るスカートを履いていた。7センチ以上のヒールで高尾山を登った。
強い、悩ましい、信じられない……! どうしてその格好で夜道を歩いていたの? 足、痛くないの? そのころの私には、それらが「まだまだ」だったなんて。
怖いもの知らずだ。きっと、そのころの私の血は鮮やかだったろう。便と尿は金銭授受が発生するに違いない。お股は常に晒していたようなもの。
シンプルで、ゆとりがあり、広大な布を好む今の私は、「もう」。
それなのに。
帰り道、数年後には廃業していそうなショッピングビルで、オレンジ色の派手なカーディガンと、ピチピチなトップスを購入した。じゅわっと広がったノスタルジーのしみを拭えなかった。
はて、どこで着るのだろう。さて、着方が分からない。
怖いもの知らずであることは、変わらないようだ。