冬は窓から差し込む白い光に雪の気配を感じる朝があるから好き。昨晩、知らぬ間に降り積もってたみたい。よく冷えた歯ブラシをくわえても、キンとした静けさが肌を突き刺してもうれしい冬生まれ。
こんな日だって、43キロ向こうじゃ華奢な犬でもわりと軽装でコンクリートの上を歩いているからね。4年目の冬を迎えたグレーのコートと1年目の白いマフラーを体にぐるぐる巻き付けた、頼もしいようなたくましいような恥ずかしいような私はいつも3センチ浮いてるよ。
19時から21時の電車は、一桁の気温に閉じ込められた疲れが揉まれて弾けてコートの中に充満して、ほんとうに大変なんだから。地元の改札を抜けるとそれは一息で冷えて、スーパーのお惣菜売り場では緩んじゃうし、根菜売り場ではコトコトという幻聴が聞こえがち。今日はカレーがいいと思って。
すぐそこに見えたような、勇気づけられたような。きっと柔らかいね。きっとあたたかいね。いいじゃん。