今日はシャウエンが走り回る姿に「逃走中」のナレーションのモノマネを入れて1人でケラケラと笑うくらいには心が晴れていたけれど、夜ごはんを作って食べたら悲しくなった。
数日前に大量に作った大根ピクルスに飽きて、「すっぱい」と「いい食感」の2大要素を排除するべく味噌汁と炒め物にヤケクソで大根ピクルスをぶっ込んだら、最悪の味になって、悲しくなった。
酢が他の食材を柔らかくするだとか、甘味を引き立てるだとか、そういう化学反応的なことを期待していた。火を入れれば、とろとろの食感になると思った。ならなかった。大根ピクルスは大根ピクルスのまま、味噌汁と炒め物の中で生きていた。
今までに何度もこういう料理を出されて、しかも酸っぱいものが苦手な同居人が「何でまたこういうことをするの……?」と言ってため息をついた。本当に申し訳なかったけれど、答えが見つからなかったから、「フッ……さあね?」と笑ってみせた。
取り繕ったつもりが、気色悪がられてしまったから、「ほれ、こっちによこせ〜」とおどけて、皿の端に寄せられた大根ピクルスを残さず食べる妖怪のふりをした。今夜は酢がもたらす健康と美容の効果を期待して寝よう。