こんなもんです

中卒女が今さらなことに驚いたり学んだりする日々をだらだらと記録しています。唐突に気持ち悪い話や思い出話をします。

アンバランス

説教をされたあと、父にKICK THE CAN CREWの「アンバランス」を聞かせたことがある。

 

説教。それは、焼酎のソーダ割を100杯くらい飲んだ父を前に、2〜3時間立たされ、中学生の私と、小学生の弟のどちらかがぶっ飛ばされるまで、終わらない説教。

原因は私か弟がやった何かか、やらなかった何か。それは世間的にはどうでもいいこと、今となっては思い出せないこと、だけど、私たち家族とっては大事なこと、らしい。

ほぼ週一ペースの説教。先週も、先々週も、同じようなことを言われて、先週も、先々週も、同じようなことを言わせるな、と言われて、先週も、先々週も、同じことばっか言ってんじゃねえよって思ったけど、言わなかった。

 

その日、私は先週ぶりに説教をされながら、意思表示をしなければ、と考えていた。

ただ「ごめんなさい」を繰り返しても、終わらない。家を出ようと考えている18歳まで、あと5年。毎週、毎週、耐えられない。

一番の解決策は、父の言う「やるな」と「やれ」に従うこと。だけど、やりたいことはやりたいし、やりたくないことはやりたくない。そもそも、いつも途中で、何で怒られているのか忘れてしまうから、反論も思い浮かばない。

これをそのまま伝えたら、説教がもう1時間延長して、大五郎が空っぽになるだけ。あー、だるいな。あっ、ごめんなさい。

 

そうだ、それっぽいことを言ってみるのはどうだろう。

酔っ払いが好きそうなアツい言葉、心に染みそうなセリフ。例えば、お父さんの好きなビートたけしの名言。ファッ○ンジャッ○くらい分かるよバカ野郎。

 

そうこう考えあぐねているあいだに、誰かがぶっ飛ばされて、説教が終わる。父は、床や壁に体を打ちながら台所へ行き、湯を沸かし始める。いつもの、寝る前のサッポロ一番塩ラーメンを作り始める。

ああ、まずい。あと30分もしないうちに、父は立ったままサッポロ一番を食べて、ゲロを吐いて寝てしまう。いつもなら「さっさと寝ろよクソボケジジイ」と思うのに、今日は「お願い、味わって食べて!」と思う。伝えたいこと、言ってやりたいこと。

そうだ。私はケータイで違法ダウンロードしたある曲を思い出し、「あの」と、いろんなところから麺を出してむせている父を呼び止める。行かせてくれ、言わせてくれ、聴いてくれ。

これが今の私の気持ち、マイアンサー。

私もガキで、弟もガキで、やりたいことと、やりたくないことがたくさんある。

酔っ払いの小言、知らない、わからない。物分かりが悪い私と弟には明日も無理。だからやめて、義理とか根性とか、マジな話は。

私たちはかなり身勝手で、間違っているかもしれない。だけど笑い飛ばしてほしい。もう少しガキでいさせてほしい。

うちにはママはいないから。安定と未来は教わってないから。しのごの言わずに見守って。まだまだ行くからほっといて。

ウォーオー。

 

父は、「うるせぇよ」っつって、ゲロ吐いて寝た。

父子家庭2年目の父、中2の私。父は全部やめたくてお酒を飲んでいる。私も全部やめたいけど何もわからない。

そう今じゃない今はアンバランス。